こんにちは!SA富山南の石川です。
今週末は、全日本ラリー選手権 第4戦 RALLY丹後が京都府で開催されます!
ARTAオートバックスラリーチームは出場しませんが、各選手熱い戦いが期待できそうです。
さて、今回はラリーに欠かせないペースノートについてご紹介させて頂きたいと思います。
少しマニアックな内容になってしまうかもしれませんが、これからラリーを始める方や、ラリー初心者の方、ラリーを見るのは好きだけどペースノートって何?という方には、是非ご一読頂けると幸いです。
ペースノートとは、ラリー競技で実際にタイムを競うSS(スペシャルステージ)区間のコース情報を記したノートです。
インカー映像などでコ・ドライバーがSS中に読み上げているのがペースノートです。
※実際に使用したペースノートです。
ペースノートは、ラリー本番前に行われるレッキ(コースの試走)で作成します。
レッキは、ラリーにもよりますが、全日本ラリー選手権では同じコースを決められた時間内に通常2回まで走行出来ます。
※実際のレッキアイテナリーです。
1回目の走行で、ドライバーが読み上げたコース情報をコ・ドライバーがノートに書き取り、2回目の走行で、コ・ドライバーがそれを読み上げて、必要であれば修正を行います。
過去に同じコースで使用したノートがあれば、1回目からそれを元に修正していく場合もあります。
ペースノートは主に、コーナーの角度や長さ、コーナー間の距離と繋がり方、路面状況や、その他インフォメーション等で構成されています。
例えば、
7R long 30 B 2L HP and 3R 50 5L>4short don’t cut
(セブンライト ロング 30 ブレーキング ツーレフトヘアピン アンド スリーライト 50 ファイブレフト タイトゥン フォー ショート ドントカット)
意味は、
角度7の右ロングコーナー 30メートルのストレート ブレーキング 角度2の左ヘアピン 少し間隔があいて 角度3の右コーナー 50メートルのストレート 左5のコーナーから短い左4に角度がきつくなるインカット不可のコーナー
といった感じになります。
ちなみに、コーナーの角度は数字が大きいほど緩いコーナーになります。
※選手によっては逆の場合もあります。
コーナーの角度の表現は、数字の他、ワード(フラット・イージー・ミディアム・ファーストなど)で表現する選手もおり、ヘイキ・コバライネン選手やリチャード・バーンズ選手、ユハ・カンクネン選手などはワード方式です。
その他、コーナーの角度というよりは、コーナーリング車速をメインに表現している選手もおり、ワード方式の選手はその傾向が強いという話を聞いたこともありますが、いずれにしてもどちらの要素もペースノートの表現には必要になってくると思います。
※実際のノートリーディングが収録されています。
ペースノートに関して、日本人なのになぜ英語読みなのか?とご質問頂くことがあります。
私の場合は、コーナーやコースの表現が、ロング・ショート・ワイド・ナロー・カット・ドントカット・キープイン・スリッピーなど、英語読みが多く、右左や数字も含めて英語で統一した方が頭に入りやすいと感じたからで、英語が得意だからというわけではありません笑
過去には日本語読みで読んで頂いていたこともありましたし、今でも砂利や砂、葉っぱなどは、日本語の方が分かりやすいので、そのまま日本語で読んで頂いています。
また、日本人選手だけでなく、WRCに出場している英語読みの海外選手のノートや表現方法が理解しやすくなり、参考にしたりそのまま使えたりするという利点もあります。
私自身はコリン・マクレー選手や、ペター・ソルベルグ選手のインカーが聞き取りやすく、時折見て勉強していました。
ワード方式ですがユハ・カンクネン選手のインカーも聞き取りやすく勉強になります。
ラリーを始めたばかりのドライバーからは、ペースノートを聞いて走るより、自分の目で見て走った方が速いという声が聞かれることもあり、私自身も初めは同じように感じていました。
しかし、ペースノートを聞いて走ることに慣れて、精度の良いノートを作成出来るようになると、タイムを削る為にペースノートがいかに重要か理解できるようになります。
特に、ハイスピードかつブラインドコーナーが続き、路面状況が頻繁に変わるようなコースでは、安全に最速で走り切る為に、完成度の高いペースノートは必要不可欠です。
以上、長文になってしまいましたが、今回はペースノートについてご紹介させて頂きました!
かなりマニアックな内容になってしまいましたが、こういったことも踏まえてラリーをご覧頂くと、今までとは違った楽しみ方が出来るかもしれません♪
ペースノートは本当に奥が深く、ラリーで速く走る為には必要不可欠なもので、まだまだここでご紹介しきれていない内容もたくさんあります。
私自身、昨年からJN-1クラスに挑戦させて頂き、今までよりスピードレンジが上がった為、これまでのペースノートでは通用しなくなり、今まで以上にペースノートのレベルアップに取り組んでいるところです。
まだまだ勉強中ではありますが、ペースノートに関してご質問や、マニアックなお話を聞かれたいという方は、お気軽にARTAオートバックスラリーチームの各選手までお問合せ下さい!!